一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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「あれは、絶対に好きだよ」
朝の約束通り、実花子は千沙とオフィスの階下にあるカフェでランチタイム中だ。話題は言わずと知れた、拓海の秘書である真里亜のこと。千沙によれば、真里亜は拓海を好きに違いないという。
「千沙は菊池さんと話してもいないのに?」
「話さなくてもわかるの」
千沙は遠巻きに部屋をセッティングしているふたりを眺めていただけ。ほんの少しとは言え直接話した実花子でさえ、そんな風に感じなかった。
ただ、実花子よりも恋愛事情に精通している千沙が言うのなら、そうなのかもしれない。
「実花子ちゃんはお話ししたんでしょう? なにも感じなかった?」
「うーん……」
首を真横になるほど傾け、拓海の部屋に呼ばれたときのことを思い返す。
そういえば、結婚を前提に付き合っていると報告したとき、それまで穏やかな表情だった真里亜は一瞬で顔を曇らせた。そのあと唇を震わせていたようにも見えたかもしれない。