一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
つい大きな声を張り上げる。おかげで店内の視線を一気に引き受ける羽目になった。幸いにもそれは一瞬の出来事だったけれど。
「でも、付き合ってるんでしょう?」
「それは振られるためなの」
「振られるため? 実花子ちゃんってばおもしろい」
鈴がコロコロと転がるような声で千沙が笑う。
「仕方なく付き合うことにしたけど、それは私に愛想を尽かしてもらうためなの」
最大限の譲歩である。
「この格好も、拓海さんの好みとは真逆だからしているだけ」
千沙は目をパチクリさせてから、ニターッという笑みを浮かべた。
「〝拓海さん〟だって」
ついうっかり普段の調子で呼んでしまった。痛恨のミスだ。
「拓海と実花子って呼び合ってるんだねー」