一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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いったいなにを話しているんだろう。
ひと段落した仕事の合間、ふと視線を投げかけた向こうには拓海と真里亜がテーブルに置いた資料を確認しながら、至近距離で話をしている光景が見えた。
社内で拓海が陣取った部屋は、実花子のデスクの左斜め前方に位置しており、レモンイエローのブラインドが下ろされなければ中は丸見え。なにをしているのか一目瞭然の場所にある。
顔を寄せ合い、ふたりがたまに微笑み合う。仕事の話をしているに違いないのに、ここがカフェだったらデートや旅行のプランを楽しげに話すカップルのような雰囲気に見えた。
千沙の言っていたことが頭を過る。
『あれは絶対に好きだよ』
言われたときはあまりピンとこなかったが、こうして見ていると千沙の言う通りに思える。真里亜が拓海を見つめる目は、仕事上で向けるべきではないほど熱いものだった。
たまに遠慮がちにするボディタッチも、真里亜の意思が込められているように見える。
どうしてだろう。実花子の胸の中にモヤモヤが広がっていく。
それはなにやら重苦しい正体不明の物体で、消そうとするそばから増殖をはじめる。油断したら飲み込まれるのではないかと、訳もなく不安に駆られた。