一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「でも……」
関係のない拓海に付き合ってもらうのは申し訳ない。
「いいから。今からタクシーを捕まえるより早いよ」
ほらと言いながら半ば強引に実花子をシートに座らせ、拓海は自分も急いで運転席へ乗り込んだ。素早くエンジンをかけ、車は久城総合病院を目指して走りだした。
どうか無事でいて……と両手をグッと握りしめる。
静かな車内は妄想を膨らませるにはちょうどいい環境で、実花子の不安をどんどん煽っていく。
「大丈夫だよ」
信号待ちのタイミングで、拓海の手がそっと実花子に重ねられた。
あたたかい手に包まれて、血の気の引いた指先から震えが小さくなっていく。根拠のない〝大丈夫〟という言葉をこれほど心強く感じたことはなかった。
それが拓海だからなのか、そうではないのか。今は深く考えることもできないまま、拓海の手で正気を保った。