一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「立てる?」
拓海に支えられるようにしてなんとか立ち、手術室前のベンチに腰を下ろした。
拓海が所属しているのはバスケ部。その部員がする怪我とはいったいどんなものなのだろう。
天井から吊るされたゴールが落ちて、下敷きにでもなったか。それとも、ゲーム中に部員同士で激しくぶつかって頭を打ったか。
〝危険な状態〟というキーワードから頭に浮かぶのは、悪い想像ばかり。そんな連想ゲームはしたくないのに、消しても消しても嫌な結果ばかりが先行して浮かんでくる。
そのときふと、背中に温もりを感じた。拓海がさすってくれているのだ。
隣に座る拓海を見ると、いつになく真剣な表情で実花子を見つめていた。
「絶対に大丈夫だ」
力強く実花子を励ます。もういっぽうの手は実花子の手を握った。
そのあたたかさに今は縋りつきたくて、指を絡めて強く握り返す。この手を離したら深い闇の彼方へ飛ばされてしまいそうなほど、祐介を失う不安は大きなものだった。
――お願い、どうか無事でいて。
そう何度も祈り続けていた実花子たちの元に聞き慣れた声が届く。