一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「うまい!」
「それはよかった。それじゃ、俺もいただこうかな」
「私も」
拓海に続いて鍋に箸を伸ばした。
ひとりよりはふたり、ふたりよりは三人。大勢で食卓を囲むほど食事はおいしくなる。
「それにしても、ねえちゃんには参ったよ。俺を殺す気かって」
「だって、それは看護師さんが」
実花子が悲観したのも無理はないだろう。
あのとき処置室の中にはたくさんの患者がいて、大忙しだったのはわかる。看護師の勘違いを責めるつもりはないが、心臓に悪い間違いだったのはたしかだ。
あの時の手術室の患者は大丈夫だったろうかと心配になる。関係のない人だとしても、一時はあそこで無事を祈った相手だから、命だけはつなげてほしい。
「祐介くん、そんなふうに言うものじゃないよ。おねえさん、本当に心配してたんだ。それこそ今すぐにでも倒れるんじゃないかってくらいに顔を真っ青にして」
実花子は、真顔で祐介を諭す拓海の横顔を見つめた。なんだか胸がほんのりあたたかくなる。