一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


言い終わるより早く、男性は木に登りはじめた。
力のなさそうな風体をして、意外にも危なげなく登っていく。逞しいというよりは、身軽な動きだ。

あっという間に風船まで手が届くと、今度はそこからピョーンと軽快にジャンプをした。


「はい、どうぞ」


そう言って実花子に風船を差し出す。実花子は慌てて「私じゃなくて、そっちの……」と、女の子を手で指し示した。

男性は女の子の目線に合わせて屈むと、にっこり優しい笑みを浮かべて「もう手を離しちゃだめだよ」と風船を手渡した。


「ありがとうございました」


ペコリと頭を下げた女の子がうれしそうに走っていく。揺れる風船はどんどん遠ざかっていった。
その子が見えなくなるまで見送った男性は、まるで何事もなかったかのようにそのまま歩きだす。


「あ、あのっ」
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