一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
うしろから白鳥が実花子の背中を押す。トンと一歩前へ出た弾みで、足が一気に加速する。
白鳥は「私は外すからね」と声をかけ、部屋から出ていった。
人がひとり、大きな窓の隅に立っていた。絶妙な角度の逆光の中、立ち尽くしていた人物が振り返る。
「実花子」
拓海だった。
「……嘘、どうして」
胸を刺されたのではなかったのか。ニュースでは意識不明の重体だと言っていたはずだ。
……無事だったの? なんともないの……?
極限状態の緊張から一気に解き放たれる。途端に力が抜けて、その場にへたり込んだ。
「ニュース、見た?」
近づいてきた拓海が、呑気な顔をして実花子の前にかがみ込む。
どうしてそんなに軽口なのか。こんな時にどうしてそんな笑顔でいられるのか。
不安を通り越して怒りがふつふつと湧き上がる。