一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

「ほら、この前、実花子ちゃんには変な話を聞かせっぱなしになっちゃったから心配してたんだ」


拓海が実花子とお見合いをしたがった理由だ。実花子にとっては、なにひとつ喜ばしい話ではなかった。


「あれっきりになっていたけど、あの話には続きがあるんだよ」
「……続きですか?」
「僕はね、実花子ちゃんだったら、拓海くんを変えられるんじゃないかと思ったんだ。結婚に愛を求めない拓海くんの心を溶かしてくれるんじゃないかとね。だから、喜んで実花子ちゃんを紹介したんだ」


もしかして白鳥は確信犯ではないかと、ふと思った。

長年、拓海の顧問弁護士をやってきて、彼との絆は深いに違いない。それは、こんな非常事態であっても、白鳥が誰よりも先に拓海の安否を掴んでいたことでも推察できる。
心にどこかしら欠陥を持つ拓海に、彼の望む結婚相手に近い実花子の話をわざと聞かせたのかもしれない。「紹介してほしい」と拓海から言わせるように仕向けた。それは、実花子なら拓海の心を変えられるだろうという、希望的観測の元で。

でも残念ながら、実花子にその役は重すぎた。好きにならない、振られてみせると啖呵を切っておいて、うっかりイチコロなのだから。
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