一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


彼が去った方向を見てボーっとすること数十秒。彼の姿が見えなくなり、実花子も約束の場に足を向けた。
断るのだから急ぐ必要もないかと思いつつ、それでも遅刻は相手に失礼だろうと小走りになる。

そうして到着したカフェは、昼時を前にして混雑しはじめていた。
白鳥の名前を店員に告げ、窓際の隅の席へ案内される。こちらに顔を向けて座っていた白鳥が、実花子に気づいて手を上げた。


「やぁ、実花子ちゃん」


弁護士に休みはないのだろうか。白鳥はいつも同様にグレーのスーツ姿だ。
それとも、お見合いの席に合わせてそうしたのか。パンツスーツでお見合いに来たのを今さらながら後悔だ。

とはいえ、これがありのままの自分だし、実花子自身は付け焼刃の女らしさを求めてはいない。なにせ一度会うだけの、その先のないお見合いなのだから。

きっちりと七三に分けたヘアスタイルの白鳥は、黒髪にほどよく混じったシルバーヘアだ。人を助ける仕事をしているのと関係があるのかは定かではないが、涙袋のぽってりとした穏やかな目もとをしており、大きめの小鼻は高さもあって余計に大振りに見える。楕円形の銀縁メガネがトレードマークだ。


「遅くなってすみませんでした」
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