一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「いらっしゃい」
店主の声になにげなく入り口へ目を向ける。そこに立っていた人物に驚いて、口に入れたばかりの日本酒が喉の変なところへ流れていった。当然のごとく、むせる。
「――ゴホッ!」
「おいおい、大丈夫かい、実花子ちゃん」
大丈夫かいなんて言っている場合ではない。
「どうして、白鳥さんが」
ホテルから出られずにいる拓海のそばにいるものだとばかり思っていた。白鳥に連絡が取れないのも、そのせいではなかったのか。
実花子の背中をさすりながら、白鳥は隣の席に腰を下ろした。
「事件が解決したって拓海くんから聞いていないのかい?」
「……え?」
そんな大事な連絡を実花子はもらってない。
ふたりはお互いの顔を見つめて、そろってポカンとした。
この店へ入る直前にも拓海のスマートフォンに連絡を入れたが、変わらず留守番電話に繋がった。