一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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拓海の部屋に行ってみようか。ひと目だけでいいから、顔を見てから帰りたい。
そんなことを思いついたのは、白鳥と焼き鳥と日本酒を楽しんで店を出た時だった。
でも、疲労困憊で休んでいるのなら、実花子は邪魔者以外の何者でもない。それこそ、会いたいがための自分優先の考えにほかならないだろう。やはり今夜はやめておこう。拓海からの連絡を待つべき。
あっさりそんな結論に至ったものの、そもそも実花子は拓海の自宅を知らないという重要課題にぶち当たった。行くに行かれないのだ。そのまま帰るよりほかの道はなかった。
アパートへ帰ってからは、せめて拓海からの連絡を取り漏らさないように、シャワーを浴びるときにはバスルームの扉の向こうに、寝るときには枕元にスマートフォンを置いた。
それにも関わらず、朝目が覚めたときに確認した着信履歴には、拓海からのメッセージも電話も一件も入っていなかった。
ぐっすり寝入って、電話やメッセージどころではなかったのだろう。無理やり感は否めないものの、そう結論づけて心を落ち着かせた。