一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


霧雨で白く煙る夜空。あの事件が起きた夜のことを嫌でも思い出してしまう。


「こんなところでなにをしてるんですか」


そう声を掛けて傘を傾けると、拓海はやっと実花子に気づいたといった様子だった。


「あ、いや、なんか帰る気分になれなくて」
「雨降ってるじゃないですか。風邪ひいたらどうするんですか」
「……雨、降ってたんだ」


髪の毛も肩先も濡れているのに、そんなことにも気づかないで立っていたというのか。
拓海は、そこではじめて空を見上げて目を細めた。


「考え事してたから、全然気づかなかった」
「私が風邪をひかせたって、菊池さんに怒られます」


……つくづく可愛げのない女だ。彼女の名前を出して、嫉妬心丸出しもいいところ。


「とにかく、タオルを貸しますから部屋に来てください」


拓海の濡れた腕を掴んだ。
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