一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
◇◇◇◇◇
「シャワーも借りた上、夕飯までご馳走になって悪いね」
「やだな、いいんだよ、椎名さん。こんなんでよければ、いつでもどうぞ」
祐介は得意気に笑うが、それは作った人が言うべきセリフだ。
テーブルを囲んで座った拓海は、「ありがとう」と答えた。
時間も時間。シャワーだけ浴びさせて〝はい、さようなら〟とはいかず、ハッシュドビーフを作ったのだ。
ケンカというよりは、別れの要素が強い実花子たち。その直後にこうして食卓を囲むとは、不遇続きというか、予期せぬ展開の連続というか。
拓海は、どれだけ居心地を悪くすれば気が済むのか。
それでも祐介がいるおかげで、重苦しくなりがちな空気一色にならずに済んでいるのはありがたい。さっきから例によって例の如く、バスケの話題でふたりは盛り上がっていた。
おかげで実花子が黙っていても、なんら差し支えはない。拓海とは当たり障りのない会話を二言三言交わしただけで、食事の時間は過ぎていった。