一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

◇◇◇◇◇

拓海がいようが関係ない。
自分の心にそう啖呵を切ったくせに、シャワーを浴びていても自分の部屋にいても、気になって仕方がない。手持無沙汰に並べた雑誌も、ページをただめくるだけで、写真も文字もなにひとつ頭に入ったこないときている。

ベッドに入ってみてもそれは同じで、目をギュッと閉じても浮かんでくるのは拓海の顔だ。
いったい、どうなっているのか。

先ほどまで笑い声の漏れ聞こえていた隣が、急に静かになった。

壁を一枚隔てた向こうに拓海が寝ているのかと思うだけで、勝手に高鳴る鼓動を持て余して、どんどん目が冴えていく。これではきっと朝までこんな調子だろう。出勤した途端、眠気が襲ってくるに違いない。

そんなことを考えているときだった。ドアを遠慮がちにノックする音が聞こえた。
祐介だったらノックと同時に顔を覗かせるはず。ということは拓海だ。

思わず息の止まるような思いがする。


「実花子、起きてる?」


囁き声に「あ、はい……」と答える。


「少し、話せないか」
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