一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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街の中心から少し外れた閑静な住宅街。そこに拓海の住むマンションはある。
IT企業のトップという拓海の肩書から、よくテレビで見る〝なんとかヒルズ〟のタワーマンションを想像していたが、それは住宅街に溶け込むようにひっそりと建つ低層のマンションだった。それでも、濃いグレーの佇まいは重厚な造りで高級さを窺わせる。
土曜日でも仕事だった拓海と外で食事を済ませた実花子は、少しの緊張と大きな期待を胸に玄関のドアをくぐった。
「お邪魔します……」
「もっと掃除する予定だったんだけど」
拓海は謙遜するが、それは無用な心配だ。
玄関から続く廊下、案内されたリビングはどこも綺麗に片づけられていて、白を基調とした部屋は清潔感に溢れていた。
「……十分綺麗ですよ」
雑然とした実花子たちのアパートによくぞ案内できたと、自分の度胸を褒めたいほどだ。
片づけられていないとしたら、本棚から溢れかえった難しそうな本や雑誌の類だけ。これを綺麗と言わずして、なにを綺麗というのか。