一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
案の定、拓海に指摘されて赤面する。
フライング気味の妄想はさすがに話せない。誤魔化しつつ、淹れてもらったコーヒーに「いただきます」と口をつけた。
「さてと、なにをしようか」
不意にそう訊ねられても、返答に困る。
「DVDでも観る? 映画なら何本かあるけど」
拓海がテレビの脇のラックに視線を移す。
映画もいいけれど……。
「拓海さんのアルバムはないですか?」
「アルバムって写真の?」
うんとうなずく。知り合う以前の拓海のことが知りたい。
「そういったものはないな。子どもの頃の写真は処分しちゃったんだ」
「えっ」
どうしてと言いかけて、言い留まった。母親に捨てられた過去を思い出したのだ。