一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


「実花子にはまだ話してなかったけど、俺ね、母親はいないも同然なんだ」
「……そうなんですね」


白鳥から先に知らされていたと聞いたら、不愉快に思うかもしれない。敢えて初耳のように答えた。


「母親は、俺が六歳の時に男を作って出ていってね。それからは父とふたりきり」
「お父様は?」
「その父も、一年前に亡くなった」
「そうだったんですね……」


それは白鳥からも聞いてない話だった。今もどこかで暮らしているものだと。


「お母様とは別れたきり?」


拓海はゆっくりと首を横に振った。


「大学生のときに一度だけ訪ねたことがある。べつの家庭を作って子どももいて、幸せそうだった」


遠くを見つめる視線が、とても悲しそうだった。いつでもニコニコ、笑顔を絶やさない拓海のそんな顔を見るのははじめてで、実花子は正直戸惑った。
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