一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

バックミラー越しに大里が微笑んだ。運転席のカップホルダーには缶コーヒーが置かれている。それと間違えたようだ。

断るのも失礼だろうと実花子は遠慮なく受け取った。


「いただきます」
「どうぞ」


ペットボトルの蓋を開けて喉を潤す。


「拓海さんはどこで待ってるんですか?」
「この先のホテルのラウンジで打ち合わせをしています」
「それじゃ、そこへ?」
「はい。連れてくるように申しつけられています」


打ち合わせで忙しいのなら今日でなくてもよかったのに。というのは我儘かと思いなおす。なんでも教えてほしいと訴えたのは実花子だ。

窓の外を流れる街の景色を見ているうちに、だんだん瞼が重くなってきた。会話のない車の中は必然的に眠くなる。外が明るければまだしも日が落ちて時間が経ち、車内はちょうどいい暗さになっていた。心地良い振動といい、睡眠にはもってこいだ。

この先のホテルなら、それほど時間はかからないはず。ほんの少しだけ眠らせてもらおう。


「すみません、着いたら起こしてもらえますか?」
「はい、わかりました」


大里の声が遠くで聞こえるような感じがするとともに、気持ちがいいほどスーッと眠りに引き込まれた。
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