一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


ほれほれとばかりにグラタンやピラフの皿を実花子のほうへ移動させる。気にせずと言われても目の前の拓海が急に気になり、実花子は萎縮するばかり。

そんな彼女を見て、拓海はニコニコと王子スマイルを崩さない。次はなにに手を出すのだろうと、まるでオタマジャクシがいつカエルに進化するか観察する小学生のように実花子をキラキラした目で見ていた。


いつものようにガツガツと食べづらい雰囲気の中、それでも食欲は抑えられずに黙々と食べ続けた結果、空になった皿が実花子の前にいくつも並んでいた。
お互いの趣味や休日はなにをしているかなど、お見合いに必須の会話はなにひとつしないまま時間が過ぎていく。それは単なる食事会の様相である。白鳥の知り合いを紹介され、ただ一緒に食事をしただけに思えてきた。

三人そろって食後のコーヒーを飲んでいると、腕時計を確認した白鳥が「おっと、もうこんな時間か」と慌てて飲み干す。
つられて時計を見ると、いつの間にそんなに時間が経過していたのか、午後七時を指している針には実花子も驚いた。


「これからクライアントと約束があるんだ」
「そうなんですか」


土曜日の夜なのに仕事とは大変だ。
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