一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
もらった名刺をたしかめようにも、バッグは大里に奪われたままだ。となると、あの名刺は偽装なのだろうか。
『それはできない。パクリだと訴えられた挙句、粉飾決済まで隠していたんだ。契約不履行で、こっちが訴えてもいいくらいなんだぞ』
大里は拓海が買収した、アプリを作った会社の人間なのかもしれない。
「粉飾決算を見抜けなかったのは、そちらの不手際ですよね、椎名社長さん」
拓海が言葉に詰まる気配がした。
アプリのパクリだけではなく粉飾決算までしていたとは。そのため拓海は、M&Aの解消に踏みきったのだろう。
それを覆したくて、大里は実花子をこんなところへ連れだした。
軽率な行動を取った自分に、実花子はほとほと呆れる。見ず知らずの人にはついていくなという、小学生でも守れる約束をあっさり破ったのだから。
「さて、どうしますか? 解消は取り下げますよね?」
「拓海さん! そんな必要ないですから!」