一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

実花子にハンカチを半ば強引に押しつけると、大里は積み上げてあるダンボールをひとつ下ろして、その上に腰を下ろした。
実花子をここで見張るつもりらしい。

手持無沙汰からか、実花子のものではなく自分のスマートフォンを胸ポケットから取り出し、それをいじりはじめた。
なにかゲームでもやっているのか、この場にそぐわない軽快な音が聞こえてくる。


「アプリを模倣したのは事実なんですか?」


大里が実花子にゆっくりと視線を向ける。手もとのスマートフォンからは、音が流れ続けていた。


「故意にやったわけじゃありません。出来てみれば、そっくりだったというだけ」
「訴えてきた会社のアプリの存在は?」
「知っていました。数多くのアプリを手掛けてきたクリエイターは、業界で有名でしたからね。彼に憧れてアプリを作るようになったようなものです」


憧れていた人に近づこうとした結果、それが自分の発想なのかそうでないのか、境界線がわからなくなった。素晴らしいアプリを作ろうと目指したはずが、同じようなものになってしまった。そう言って大里は視線を床に落とした。
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