一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
途方に暮れる実花子の向かいで、拓海は笑顔を崩さない。「これも食べる?」と言って、まだ手を付けていないアイスクリームを実花子のほうへ滑らせた。
「いえ、もうお腹がいっぱいですから」
実花子はそのまま丁寧に両手でUターンさせた。
「そう?」
「はい」
「本当に?」
拓海が目を細めて実花子を見据える。
「……はい」
そう何度も確認されると、いっぱいだったはずのお腹に隙間ができるから恐ろしい。これが別腹というものか。
拓海がひと口食べて「おいしい」と実感を込めて呟く。
そのバニラアイスがおいしいのは実花子も実食済みである。パンケーキにものっていたのだ。バニラビーンズがいい香りだった。
自分では意識していなかったが、つい食い入るように見ていたのかもしれない。拓海は「食べる?」と、アイスクリームをスプーンに乗せて実花子へ差し出した。