一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「もしかして拓海さんは、ご飯はもう食べましたか? それならなにかデザートだけでもいいですし。あ、ここから少し行ったところにチーズケーキのおいしいレストランがあるんです。チーズケーキは嫌いですか? もしもそこが嫌なら――」
「実花子、ごめん」
口を挟む隙も与えないほど早口だった実花子に、冷静な拓海の声が掛けられる。
「……そう、ですよね。無理ですよね」
力なく繰り返す実花子に拓海がうなずいた。
「それじゃ」
拓海が背を向ける。
もうこれで二度と会えないかもしれない。今夜が最後かもしれない。そう思うと堪らなくて、「待ってください!」ともう一度呼び止めた。
「嫌われたままでいいから、そばにいさせてください」
自分でもなにを言っているのだろうと思う。
でも、そばにいられるのなら好かれていなくても、たとえ嫌われていてもいい。恋人じゃなくても。