一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

「拓海さん、前に言っていたじゃないですか。好きでもなんでもない女の人でもキスできるって。誘われるがままだったって。それなら、私だって――」
「それはできない」


拓海が拒否で遮る。跳ね返されそうな勢いだった。


「……そうですよね。冗談です、冗談。拓海さんがあんまり笑わないから、笑わせようとしただけなんです」


笑い飛ばすしかなかった。実花子は、そこまで嫌われたのだ。
拓海は笑うどころか、表情を硬くするばかり。悲しんでいるのか憐れんでいるのか。

そんな顔をする拓海を実花子ははじめて見た。
そして、自分ではもう拓海を笑わせられないのだと思い知らされただけだった。


「それじゃ、私、行きますね」


拓海を見送るのは嫌だったため、実花子から背を向け駆けだす。そうして逃げるように拓海の前から姿を消すしかなかった。
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