一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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更衣室でジャージに着替え、道場へ向かう。
実花子が連日通っているのは、護身術を教えてくれる道場だった。会社から歩いて五分のオフィス街にある。
五階建てビルの三階。そんな場所に道場があると普通なら気づかないかもしれないが、窓に堂々と掲げられた〝合気道道場~護身術も教えます〟という大きな張り紙が目印になっている。
教えるのは主に合気道だが、それだけでは生徒が集まらないらしく、もっと広く集めるために護身術を教えるようになったのだとか。それでも期待するほどの需要はないのか、実花子が通っている夜のレッスンは、先生とマンツーマンになるのも多かった。
「それじゃ、前回のやつから復習しよう」
高木春樹という先生は実花子と同じく二十八歳で、父親とふたりでこの道場をやっている。細身の爽やかな好青年で、一見すると格闘技をやっているようには見えない。
「うしろから急に肩を掴まれるケースの対処法をやってみようか」
「はい」
最初に教えてもらった技だ。