一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
祐介だったのだ。拓海に夢中になりすぎて、すっかりその存在を忘れていた。
「あ、うん……」
拓海とふたりで恥ずかしさに俯く。
「あーあ、見てらんないよ。ったく」
祐介はそんなことを言いながら、玄関から出ていった。彼なりに気を使ってくれたのだ。
「あ、そうだ」
拓海はそう言うなり、ズボンのポケットをまさぐる。中から取り出したのは、深い緑色の小さなケース。セレンディピティでもらい損ねた指輪だ。
あのときはいったん拓海の元へ返っていた。
それが今ここに……。
胸いっぱいに熱い想いが広がっていく。
拓海はそこから指輪を取り出し、ケースをもう一度ポケットへしまった。実花子の左手を取り、薬指へはめる。
高鳴る鼓動は、どうにも隠し切れなかった。
「実花子、結婚しよう」