一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
実花子がガッカリしたと気づいた拓海は、意地悪な目で笑った。
急に冷ますことを余儀なくされた気持ちをなんとか鎮める。
「……そうだ、拓海さん」
実花子はひとつ思い出したことがあった。それは、ずっと聞きそびれていたことだった。
「拓海さんが襲われてホテルに身を隠していたとき、『私に助けられた』って言っていたでしょ? あれはどういう意味?」
その場にいたわけでもない実花子が助けたとはどういう意味だったのか。
白鳥にも『それは拓海くんに聞くといいよ』と誤魔化されたままだった。
拓海は、「あぁ、そのことか」と小刻みにうなずきながら実花子から離れ、キッチンカウンターの引き出しを開ける。
実花子のもとに戻ってきた彼の手には、ついさっき胸ポケットにしまったものと同じケースが握られていた。
でもよく見てみると、その蓋の部分にはざっくりと大きな切れ込みが入っている。
「これが俺を守ってくれたんだよ」