一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

拓海は軽く微笑みながら、そのケースを開けた。すると、中には実花子の薬指にはめられているものと同じ指輪が収められていた。
台座部分にも蓋同様の切れ込みがあり、指輪にも細い傷がついていた。

つまりあの事件当夜、これが胸ポケットに入っていたおかげで、刃物が拓海の胸を貫かずに済んだのだろう。

実花子は驚いて拓海の顔を見た。


「犯人は、このケースを刺した手ごたえを俺の体と勘違いしたんだろう」


霧雨の中、キラリと光る刃物。その切っ先が拓海の胸をめがけて……。
思わずそのときのシーンを想像して、実花子の膝が震えだす。


「ごめん、変な話聞かせたね」


拓海は片手を実花子の肩に置き、「座ろうか」とフローリングに腰を下ろさせた。


「大丈夫?」


心配そうに実花子の顔を覗き込む拓海にうなずく。
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