一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


咄嗟にその手を払おうとしたものの今度ばかりは拓海の力には敵わず、そのまま引きずられるようにみんなの前をあとにした。


「岡野社長、少しこちらの部屋をお借りしてもよろしいでしょうか?」


顔だけで振り返った拓海が岡野に尋ねると、彼は驚いたまま「あ、ええ、どうぞ」と部屋を手で指し示す。実花子は拓海にまんまと密室へ連れ込まれてしまった。

ふたりきりになり、ようやく手が解放される。


「昨日はなんでなにも言わずに帰った?」
「だって、あんなこと……」


あの展開で拓海が目覚めるのを待っていられるわけがない。


「それより、フィアンセって、どういうことですか? 結婚するつもりはないと言ったはずです」


ここで毅然とした態度を取らなくては、このまま拓海のフィアンセという肩書が付いてしまう。表情を引きしめて強気に言った。

ところが、当の拓海は穏やかな笑みを浮かべるばかり。これでは実花子が一方的に悪者みたいだ。
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