一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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「それでいったいどういうことなの? 実花子ちゃん」
瞳をキラキラさせ、千沙が小首をかしげて顔を覗き込む。
会社近くのイタリアンの店は、お昼どきとあって空席を待つ人が列を作るほどに混雑していた。タイミングが良かったのか、すぐに席へ案内された実花子たちは注文を済ませ、あとは料理を待つばかりだ。
拓海が出ていったあと、しばらく経ってからデスクへ戻ると、実花子は当然ながら四方八方から好奇の目を向けられた。みんなにしてみると会社が大波乱を迎えたうえ、親会社の社長が突然フィアンセだと実花子を紹介したのだから無理もない。
「椎名社長と結婚するって本当?」
「違うの」
「しないってこと?」
「うん、しない」
拓海が勝手に言っているだけ。実花子はまだ承諾していない。
いや〝まだ〟じゃない。これからも承諾するつもりはない。