一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

「実花子ちゃんがフィアンセだなんて紹介されたから、本当にびっくりしたよ。私、なにも聞いてなかったし」
「ごめんね、じつは土曜日に……」


ただ会うだけでいいと言われた形ばかりのお見合いは、わざわざ千沙に話すまでもないと黙っていたのだ。でも、こうなったからには話さないわけにはいかない。千沙に土曜日の出来事をかいつまんで聞かせた。

ただ、うっかり一夜を共にしたことは軽率すぎて言えなかった。


「実花子ちゃんがお見合いしてたなんて……」


千沙が何度もゆっくりと瞬きを繰り返す。彼女もまた、実花子がお見合いをするとは思ってもいなかったのだ。


「会うだけでいいって言われて渋々だよ」
「でも、会うなり即プロポーズなんて、ちょっとロマンチック」


夢見る少女のように両手を組んで、千沙が無責任に言う。

実花子にすると、ロマンチックというよりエキセントリックだ。どうかしているとしか言いようがない。ひと目惚れをされるような千沙なら、そういった出会いがあっても不思議はないが。

唇の尖った実花子に気づいた千沙は、慌てて「ごめんね」と謝った。
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