一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「でね、椎名社長のこと、さっきこっそり調べたんだけど……」
さすが千沙である。ほんわかしているようでいて頭が回るのだ。
プリントアウトしたものを千沙が差し出す。それはA4サイズ二枚に亘ってIT業界の今後について話している、拓海のインタビュー記事だった。お見合いの席で見せていた笑顔ではなく、真剣なまなざしが印象的だ。
土曜日に白鳥が言っていたように、経歴欄には二十五歳で起業したあとに数々の会社を吸収合併してきたと書かれている。
年齢は三十三歳。もちろん独身。メディアテックの社長である岡野が四十歳手前だから、それよりも若い。
こういう業界は若手が多いとはよく聞くが、三十三歳でいくつもの会社のトップに立っているのだから、その点に関しては素直に感心する。でもだからこそ、実花子に固執する理由がわからない。結局、行き着く疑問はそこにある。
この容姿と肩書があれば、女性から言い寄ってくるはず。それも実花子ではまったく及ばない、レベルの高い女性だ。その人たちを差し置いて、なぜ実花子なのか。
『俺は、キミがいいんだ』
先ほど拓海に言われた言葉が蘇ると同時に、意思に反して鼓動が速くなる。