一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
嘘を言っているようには見えなかった。それに、嘘をついてまで実花子に近づくメリットはひとつもない。
実花子は資産家でもなければ、どこかのIT企業の社長令嬢でもない。弟とふたり、ひっそりと暮らすごくごく平凡な女なのだから。
「実花子ちゃんは、椎名社長のことを嫌いなの?」
「好き嫌いの問題じゃないから」
拓海と同じ質問はやめてほしいと憤る。
「でも、こんなにハイスペックの男性、なかなかいないよ? 彼と結婚したら一生お金に苦労することもなさそうだし」
普通に考えたら、そうだろう。でも実花子には、簡単に結婚できない事情がある。
「祐介くんのことが気になるのね」
千沙がまさにそこを突いた。
そうなのだ。まだ中学二年生。その祐介を置いて結婚なんて実花子にはできない。
祐介が大学を卒業するまで、結婚はおろか恋も必要ないと思ってやってきたのだ。今さらそれを覆そうとも思わない。