一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
拓海への恋心が実花子を女性らしく変化させたのだと千沙には思われているが、じつはその逆。それもこれも、すべては拓海に振られるため。
拓海が女性らしいタイプをお断りなら、実花子はそれを目指そうと決めたのだ。つまりこれは、拓海に結婚をあきらめさせるための策略である。
「私、意外とこういうのが好きなんです」
本当は男顔負けのサバサバしたタイプではないのだとアピールをする。これで拓海の追い求める女性とは程遠くなったに違いない。
自信をもって彼を見上げると、拓海は驚いた顔から一転、柔らかく微笑んだ。
「似合ってる。実花子はもともと美人だからね」
予想していた反応と違い肩透かしを食らう。それともそれは王子様ならではのポーカーフェイスであって、心の中では逆の感想なのだろうか。
きっとそうだろう。そうでないとおかしい。この格好であれば見た目はどこからどう見ても、拓海の知っている実花子本来の姿は影をひそめているはずだから。
「今夜、時間取れる?」
「え……?」
「おいしいものでも食べにいこう」
そう誘われると実花子はとても弱い。お見合いのときにも、そんな誘い文句についホイホイついていってしまった。でも、おいしいものに目がないのは今さらどうにもならない。