皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「だが、それとこれは別だ。彼女を愛しく思う気持ちに偽りはないよ」

「エイモン殿……!」

お母様が叔父様の言葉に、はっとしたようにそちらを見る。

ああ、なんだ。両思いなんだ。

(良かった)

そう思った私は、ほっと小さく息を吐く。

叔父様は意を決したように私を見てから立ち上がった。

「兄上、大公の地位を返上いたす。元々ぼくには重いものだった。死罪でも何でも受けよう。けれど兄上の妻は、皇后は、貴方に蔑ろにされたからこそ愛を求めたんだ。それを咎めるのであれば兄上も咎められるべきだろう!」

「……だとしても、許されるべきものではない。ましてや我らは国民の規範たるべき存在ぞ、エイモン!」

苦しげな声が、壇上から響いた。

その言葉は確かに正しくて、私は再び皇帝陛下の方を見上げた。

陛下は、私のことなど見ていなかった。

苦し気な面持ちで、隣に座るリリスの手を握り締め、弟を見ている。

「陛下、恐れながら申し上げます」

「……なんだ」

「私が持つ皇位継承権を返上いたします。そして、リリス様を皇女として大々的に国民に迎え入れたことを示し、皇位継承者としてご指名くださいませ」

「なに?」

私が淡々と、できるだけしっかりとした声で皇帝陛下と円卓を囲む諸侯に告げれば、彼らはあんぐりと口を開けて私を見ていた。

隣に座るお母様も、驚いた顔で私を見ている。叔父様もだ。
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