皇女殿下の幸せフェードアウト計画
だけど出来上がったものを使うでもなく誰かに差し上げるでもなく、次々に編んでは溜め込むものだから、さすがに物申そうかと思ったところでイリス様は言った。

「ウルスラ、これをこの間お忍びで町に下りに行った時に見掛けた寺院に寄付して頂戴」

「寺院、ですか」

「貧乏そうな修道院があったでしょう? そこに寄付してやったら多少は見苦しくなくなるんじゃないかしら?」

「はあ」

レースを飾れと?

そう突っ込みたくなったけど、言われて思い出してみればこの間イリス様が将軍を伴って乗馬訓練と銘打ったお忍びで城下に行った際に見掛けた寺院と言えば、バザールがよく開かれている広場の傍のものだろう。

あそこには母が働いているんだけれど、イリス様はまさかそれを見掛けたんだろうか。

もしバザールでこれが教会のものとして売り出されたら、なかなか良い値も着くだろうし、あそこで面倒を見ている貧しい子供たちもずいぶん助かる。
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