皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「あ、勿論だけれど私の名前を出してはいけないわよ。あんな貧乏そうなところ、関わりができたなんてすり寄られたらたまったもんじゃないんだから!」

「もしあそこが金銭に困ってこれらのレース作品を売りに出しても、よろしいんですか」

「別にいいわよ、寄付するのだし。好きに使えばいいわ」

もし、イリス様の名前で寄付されたらそんなものを売りに出すなんてできやしない。

だから、そんなことを言うんじゃないかってワタシは気づいてしまった。

貧乏そう貧乏そうって、確かにあそこは近隣の子供たちのために切り詰めているから……どうしても追いつかない政策の弱い部分を、ロベルタ様がこの間授業していらしたから。

(もしかしてイリス様はそれを気にしていた? だから、乗馬でわざわざ町中に行って寺院の傍に行った?)

大量のレース作品も、ちょっとの量じゃ役に立たないから。

どうせだったら、いっぺんに売り払ってそれなりの額にできるようにっていう気遣い?

「……かしこまりました。あの寺院には知り合いがおりますので、手配いたします」

「そう。お願いね」

どこかほっとした表情を見せるイリス様は、やっぱり皇女様だ!

武勇がなんだ、立派な体つきとか身長がなんだ。

こうやって民のことを思える人が、皇女様で最高じゃない。
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