皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「許す、話せ」

「……陛下は、将軍の副官であるアルトロをご存知だろうか」

「知っている。后があれに辛く当たること、常々申し訳なく思っていた。……それに、イリスにも心内言葉を投げかけられていたであろう」

唐突に出て来たアルトロの名前に、将軍だけでなく私も首を傾げた。というより、全員が首を傾げたんじゃなかろうか。

私としては申し訳ないと思う相手の一人なので、名前が出た時にはどきりとしたけれど。

「アルトロは、姫に救われたことを、おれに語ってくれた。姫の人となりを、表面だけで判断するなと」

「……どういうことだ」

私もわけがわからないから是非お願いします!

思わずそう言いそうになったのをぐっと堪えてフォルセティを見上げれば、彼は私をじっと見て、口を開いた。

(どうして、そんな目で見るの)

話をちゃんと聞かなきゃいけないのに。それなのにその目がまるで、愛しいものを見るかのような優しさに満ちていて。

私だけを見ている、そんな風に錯覚させるようなその眼差しに思わず私も彼を見つめてしまった。
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