皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「確かに皇后陛下は厳しい言葉をアルトロにたびたび投げかけておられたが、姫が先んじて声をあげることにより皇后陛下は重ねることができなかったのであろう。幼い姫の言葉は可愛らしいもので何一つ彼を傷つけるものではなかったと聞いている」

「そんなことはないわ!」

「……具体的には」

「体が大きくてむさくるしい、髪色が赤くて珍しい、もう少し身嗜みに気を使え……という類のものだったと聞いている」

あれ? そうだったか? 何となくうろ覚えの記憶を思い返してみて……ああうん、でもそれ多分、悪口を言う語彙力がなかったんだと思う。

悪口を言っていたなーっていう記憶で物事を進めていたけど、悪口にすらなっていなかったっていうこの私の驚きはどこにぶつけたらいいんだ!?

「初めのうちは幼い姫まで皇后陛下に感化されたのかと思ったという。だが姫の行動を見た騎士団の仲間が、仲の良かったものから他に至るまで、彼を慰めるようになった」

「……それは、お母様の時にもしていたのではなくて? 私がどうというわけではないでしょう」

「いいや。幼き姫に言われたからこそ、憐れに思って彼に優しくする者が増えたのだと、
アルトロ自身がそう感じたそうだ」

そしてフォルセティが言うには、当時軍に馴染めずにいた少年兵のアルトロはその件を機に周囲と打ち解け将軍の副官にまで上り詰めたのだという。

礼を言うにも身分差があり、せめて姿を見守るだけでも……と思った折に将軍から先日の舞踏会に連れて行ってもらって私を間近にしたのだとか。
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