皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「ユゼフ、愛しい貴方。さあ聞かせてくださいませ、イリス様はお元気でした?」

「ああ、……とは言えないかな。少しお疲れのようだった」

「そう……あんなことがあった後だもの、仕方ないわ」

「きみの体調はどうだい、ルイーズ」

「ええ、今は落ち着いているの」

ベッドの上で青白い顔で微笑む妻のルイーズは、確かに出掛ける前よりは落ち着いている。

皇女殿下からの招待状を前に喜んでいた分、がっかりしたであろうにこうして笑顔を見せてくれる妻の健気さには頭が下がる思いだ。

幼い頃から彼女を支えているつもりで、支えられているのは自分だと気づいたのはいつだっただろうか。ルイーズがいなければ、私はきっと過ちを犯してばかりだ。

(今回ばかりは、遅かったかもしれないが……それでも、まだこれから挽回はできるのだろう)

皇女殿下が幼馴染として気安く接してくれるのを良いことに、彼女が皇帝陛下のような『特別な存在』ではないことに腹を立て、態度を悪くして……彼女自身を見ようとしなかったことは、今更どうにもできない事実だ。

ルイーズによって、彼女の行動一つ一つが『ただイリス』という人間の優しさや、年相応の行動であったと知って……知っても最初はまだ、受け入れられなかった。

彼女は皇女なのだから、かの皇帝陛下のご息女なのだから。

期待しているからこそ失望するのだ、期待を裏切る方が悪いとどこかで思っていたのかもしれない。
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