皇女殿下の幸せフェードアウト計画
弟は、男としての機能を失うために施術を受けた。屈辱であっただろうに、それでも別れの場で晴れやかに笑うのだ。

どれだけ幸せなのか見せつけられた思いだ。

『余は……いや、俺はお前に疎まれていたのか?』

『いいや、僕は兄上のことを慕っていましたよ。ただ……同時にとても憎らしくもあった』

『……』

『愛する女性を見つけ、自身の責任ゆえに別れ、そして国外から多額の持参金を持った妻を迎える。それは身を引き裂かれるような思いだったでしょうね。でも兄上は両方を手にすることになった』

弟の目が、いつからか冷たいものになっていたことには気づいていた。

それでも何故かと問うこともなく、なあなあにしていたのはいつか時間が解決するからだと思っていた。

『でも皇帝ですからね、仕方ないと思いましたよ。彼女もそれを理解していた。だけど、……だけど、兄上は彼女を信じることも、擁護することもしなかった!』
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