皇女殿下の幸せフェードアウト計画
(どうして、気づかなかったのだろう)

愛娘となったリリスが、イリスから茶会の招待状をもらったと嬉しそうに笑っても。

イリスは何を考えているのかさっぱりわからなくて、あのショールもなにかを狙ってプレゼントしたに違いないと素直に喜んではやれなかった。

茶会も一人で行かせては危険だと、偶然場内を歩いていたフォルセティを見つけ護衛役として威圧に役立つだろうと連れて行った。

フォルセティはどうやらイリスに対し、良い感情を抱いているようだが……よくわからない。相談役であるロベルトも、その妻であるロベルタも、将軍も、イリスの幼馴染として苦労をしたはずのユゼフでさえ何故かイリスを庇いだしたのだ。

『先の会議でも申し上げましたが、我らは陛下のことを敬愛するあまり、皇女殿下にも同じだけのものを求めすぎていたのです。どうしてそんなことに気がつけなかったのか今となっては愚かの極みとしか申せませんが……』

そうだ、確かに聞いた。

何もできなくて、泣きべそばかりで、自分の思い通りにならないと喚いて……ああ、そうだ。幼い子供だったのだ。

俺の記憶にあるイリスという娘の記憶は、小さな娘だったのだ!

父親の手を求める、ただただ普通の幼子だったのだと気づいた途端に胸が軋んだ。
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