皇女殿下の幸せフェードアウト計画
(俺は、取り返しのつかないことをしたのではないか)

皇帝として、祭り上げられた偶像を演じた。

それが悪いことだとは思わない。この国は、強くなったのだ。

強くなったアルセイド帝国という大国を、俺は皇帝として維持しなければならなかったのだ。その為にならば完全無欠の人間を演じることだって必要なことだったのだ。

(……いつから、俺はそれをあんな小さな子供に求めていた?)

ロベルトに言われた。

イリスはいつの間にか、俺のことを父と呼ばなくなったと。

言われて馬鹿なと思った。

だが、思い出せば思い返すほどイリスと接した時間の少なさに驚かされた。

記憶力は悪くないと自負している分、余計に愕然とした。いつの間に、公務以外で顔を合わせなくなっていたのかそれすら曖昧だ。

そして、顔を合わせたイリスは……確かに俺のことを「陛下」と呼び、臣下の礼をとり続けていたではないか。
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