皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「司祭様も本日はよろしくお願いいたします」

「リリス様、どうぞ緊張なさらず。神は常に我らを見守ってくれておられますゆえ。イリス様も再度確認をされたいとのことで、皇帝陛下よりお話は伺っております」

「お手数をおかけいたします」

ギィ、という重たい音を立てて開く扉、そのまた奥に扉が見える。

陛下と司祭様が先を歩き、お二人がそれぞれ懐から取り出した鍵を差し込むことで開かれた扉の先はとてもシンプルなものだった。

真っ白な、部屋。

天窓の上にさらに天窓が見える造りはなんて表現して良いのかわからないくらい綺麗で、高くて、ここは特別な部屋なのだとわかる。

絨毯も敷かれていない部屋はひどく足音が響く気がした。

護衛たちは扉のすぐ傍で待機し、私たちだけが部屋の奥へと進む。といっても、そこまで広くない部屋だから護衛とは目と鼻の先と言っても良いのだと思うけれど。

(女神像……)

材質は大理石だろうか。真っ白で美しく、凛々しい女神の像がある。

そしてその手前に、真っ黒で艶やかな面を保つ一枚の岩が安置されていた。

「これより、洗礼式を行う」

厳かな声で司祭様が言う。

私たちはその場に膝をついた。床が痛かったけれど、そうすべきだと言われずともわかる。
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