皇女殿下の幸せフェードアウト計画
でも皇位継承権はリリスにもきっと与えられる。

そしてこれからの生活で、諸侯も『鼓舞』が民を導くのに相応しいって思ってくれるに違いない!

私は私でできることといったら、リリスお姉様の不安を取り除いていけるよう……なにができるかな……?

「イリス、素晴らしいわ! 神々も貴女の献身をきちんと評価してくださっていたのね」

「……お姉様」

我がことのように、いいえ、自分のこと以上にお姉様が喜んでいるのがなんだか気になるけど、胸の内があったかくなった。

お父様の背を追うように歩き出すお姉様は、綺麗だ。

前を向き、笑顔で、胸を張り堂々と歩いている。まるで、生まれながらの皇女様。

(……お姉様みたいだったら、……もし、生まれ変わったのがお姉様だったら)

私もこんな風に、表舞台から逃げ出すことばかり考えないで、もっと強くあれたんだろうか。ふとそんなバカげたことを思って、首を振る。

(違う。お姉様はお姉様だから、あんなに強い。もし私がお姉様に生まれ変わっていたとしても、中身は私だもの……今と同じに違いない)

前を歩く『リリス』は、私の憧れ。アマリリスの花のように艶やかで華やかで、凛として存在感のある人。

なりたかったカタチを、体現した女性。

なれなかった私が、生まれ変わったところでなれるはずがない存在。

(それでも)

彼女を笑顔にすることは、私にだってできた。些細なことしかできなかったけど。

憧れの人を、笑顔にしたんだ。この、私が。
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