皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「イリス」

ふと振り向いたリリスお姉様が、私に手を伸ばす。

満面の笑顔で、愛しいものを見る眼差しで、躊躇いなく伸ばされたその手。

私はその手を掴みたくて、手を伸ばして躊躇った。躊躇って、それでも伸ばした手を彼女は迷わず取ってくれた。

「ふふっ、こうやって妹と手を繋いで歩ける日が来るなんて!」

「……おねえさま」

「さっきも言ったけれど、貴女からしたら仕方なくなのかもしれないけど、私のことをそうやって呼んでくれるのがすごく嬉しいの」

ぎゅっと握った手は、温かい。

並んで歩く私たちを見る人は、どんな風に見るんだろう。

「突然やってきて、皇女の座にまんまと納まった女と思われていると思うとね、喧嘩を売るなら正面から来なさいって思ってしまうの」

「えっ」

「それなら正々堂々と、私は父上とイリスの家族なのよってぶっ飛ばせば済むでしょう? だけど、そんなことができないってわかってる」

くすくす笑って言われた内容が案外衝撃的だ。
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