皇女殿下の幸せフェードアウト計画
座ったまま、私はお姉様をまっすぐに見る。

手を伸ばせば、リリスはゆっくりとした動作で、私の手を握ってくれた。

私も感じている。私の言動一つで物事が決まるのがすごく怖い。だからこそ、嫌われて接する人を減らして、引きこもって……表舞台から消えたくて。

だから、リリスの気持ちを、『私』は誰より理解していると思う。

前世の記憶を取り戻して、この重さの意味を知った私と。

平民だった世界から、皇女として認められたからこそ重さを感じたリリス。

それは、まるで関係性はないように見えてよく似ていると思った。

「私は、お姉様が分かち合ってくださったなら、どれほど救われるだろうと思っております」

「イリス……」

「お姉様は優しく、人の気持ちを理解できる方です。多くの人間に注目され、観察されることは好ましくないかもしれません。ですが」

繋いだ指先が、震えている。

私の憧れの人が、怖がっている。

どんな時でも前を向いて歩いて行ける彼女だけれど、怖くないわけじゃない。それを乗り越えていける勇気を持っているってだけ。

でも、私は知っている。

(その勇気を振り絞ることは、とても大変だから)

私は立ち上がって、笑顔を浮かべてみせる。

リリスお姉様が不安そうな顔をしているのが、良く見えた。
< 251 / 370 >

この作品をシェア

pagetop