皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「お前はそれで良いのか」

「良いもなにも、リリスお姉様も陛下の横が安心でしょう。社交界に慣れておられないのですから、陛下の横であれば有象無象と声をかけることもできませんし……」

「……ではお前はどうする」

「私ですか?」

きょとんとする。

今まで舞踏会は幼い頃から何度も経験しているけれど、こんな質問をされたことはなかった。だってそもそも、舞踏会が始まった時に陛下のお傍にいられたこともないし……お母様とお話もできるし、家臣たちがちやほやしてくれるのが嬉しかった記憶しかないな……。

「私よりも主役はお姉様ですから」

「……そうか」

「きっと華やかな装いがお似合いになります。婚姻の申し込みが山のように届くかもしれません」

「そうか」

「当日は陛下がお姉様をエスコートなさるのでしょう? 来賓のお客様方に一番に紹介しませんといけませんし」

今までであれば、陛下は妻である皇后をエスコートして入ったけれど、今はいない。

娘のデビュタントなのだし父親がエスコートしたっておかしなこともない。

だから喜んでくれるとばっかり思ったのに。私は、リリスにも喜んでもらいたかった。だけど、陛下にも喜んでもらいたかった。

(なのに、なんで?)

なぜ、陛下は辛そうな顔をしているのだろう。

わからない。わからなくて、胸がざわついた。
< 299 / 370 >

この作品をシェア

pagetop