皇女殿下の幸せフェードアウト計画
騒ぎを聞きつけて人々が集まる中、私たちはどうしようもできなくて困り果てていた。

「何事だ!」

「陛下……クローディア様が」

私が説明しようと口を開いた瞬間、クローディア様の体が離れた。

そしてふらりと下がったかと思うと、その体が光り出して宙に浮く。

彼女の美しい紫色の目は何の光も映しておらず、溌溂とした表情も今はまるで憂い一色だ。

『祝福の乙女よ』

クローディア様の桜色の唇が開かれて、彼女の愛らしい声とはまるで違う、しゃがれた老人のような声が殷々と響く。開けた場所であるのに、まるで音響ホールにいるみたいに響いた。

『祝福の乙女よ、心せよ。すべての偽りを人々が自覚する。その時、新たなる道が開けよう』

「すべての、偽り?」

『祝福の乙女よ、お前が心からの福音を届けた時にこそ、正しき道は開かれる。その時に、そなたの謎は全て解けるのだ』

「私の、謎?」

『黒衣の騎士と鼓舞の戦乙女、そして祝福の乙女が揃った。世界は今こそ歌うのだ!』
< 318 / 370 >

この作品をシェア

pagetop